渡辺禎雄の型染版画が入荷いたしました!
こんにちは。
2022年12月11日にこの記事を書いています。
このはてなブログの前回の投稿が、今年の1月8日ということで、今年こそマメに投稿するつもりが、またまた怠けてしまい、とうとう師走になってしまいました...
さて、そろそろクリスマスですね。
みなさんはどのようなクリスマスを予定されておられますか?
クリスマスといえば、当店も毎年一応はりきって、クリスマスの絵本を並べたり、ちょっとした飾りつけをしてみたりなんかしておりますが、正直、毎回クリスマスの絵本は一冊売れるか売れないかの惨憺たる結果で、クリスマスの飾り付けもどこか物悲しく見えてくるので、今年からは一切綺麗さっぱりやめました。笑
ただ、なんとなくクリスマスに相応しい、素敵な商品が入荷いたしましたので、今日はそちらをご紹介したいと思います。
渡辺禎雄という版画家をご存じでしょうか。
渡辺禎雄(1913-1996)は、芹沢銈介に師事し、世界的に活躍した型染版画家です。
敬虔なクリスチャンであることから、聖書の物語を題材として多数の作品を描きました。
1913年 東京に生まれ、1930年に洗礼を受けます。
戦前は染物屋で型の下絵を描く仕事をしていたことから、同業の仲間と染色についての研究を課題にすえた「萌黄會」を結成します。
そしてその活動の中で、当時染色界で注目されていた芹沢銈介に指導を受けることになります。
戦後、混乱期の中で「萌黄會」を結成した仲間が再び集まり、「萌木会」と名称変更し新たに研究会を始めます。
「萌木会」は芹沢銈介を中核とした創作活動を展開し、渡辺禎雄も本格的に型染版画に取り組むことになります。
1947年、型染版画作品『ルツ物語』で、第1回日本民藝館賞を受賞。
翌年の1948年には、同作品で国画賞を受賞します。
その後、版画の実技講習の指導などでアメリカの大学などに招聘され、海外で個展も開催。
大英博物館やニューヨーク近代美術館、ボストン美術館、東京国立近代美術館、ヴァチカン美術館などにも作品収蔵され、海外でも高い評価を受けています。
ただ、このような数々の活躍を以てしても、日本で渡辺禎雄の作品に触れることはあまりないように思います。
キリスト教の旧約聖書、新約聖書の物語を題材にして描く渡辺禎雄の作品は、日本国内の評価に比べ、キリスト教文化圏である海外の国々の方が高い評価となっているかもしれません。
然し乍ら、渡辺禎雄の型染版画は、西洋の中世の宗教画表現のようなものではなく、仏教や神道の伝統の根強い日本の民衆文化を通し、聖書の物語を表現しています。
また、型染版画には揉み紙とよばれる和紙を使用し、彩色には天然の顔料、防染剤には糯米の粉、ぬか、塩、石炭を混ぜて作った糊を使用します。
希少な材料と手間ひまを掛け、綿密な作業を積み重ねて作り上げる作品には、柳宗悦、芹沢銈介ら民藝運動の指導者から学んだ民藝思想の「用の美」と、自身の信仰とが重なりあった『信と美』の世界を感じます。
それでは、今回入荷した作品をご覧ください。
(画像にはアクリル板の反射による写り込みがございます。ご了承ください)
渡辺禎雄が歩んだ工芸の道を今回の新入荷の作品で少しでも知っていただけたら幸いです。
ご購入希望の際は、ホームページお問い合わせフォームよりご連絡ください。
それでは〜。