『ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪』を観賞 〜その時代を語る本たち
こんにちは。
古本出張買取でおなじみの大阪・古書象々です。
本日もスタッフZが投稿いたします。
今日から11月。
昨日まで世間の一部分では欧米の慣習「ハロウィン」なるものにうつつを抜かし、大騒ぎしていたそうですが、一日過ぎればあっという間に熱も冷めて、世の中は何事も無かったような空気で11月が始まりました。
さて、そんな昨日は店舗の方もお休みで、午前中は空振りの出張買取が1件。
さー、余った時間を有効に過ごそうと、久しぶりに映画館へ。
シネ・リーブル梅田にて上映中の『ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪』を観て参りました。
ペギー・グッゲンハイムは、アメリカの大富豪グッゲンハイム家に生まれながら、一族の格式ばった世界が嫌で、従兄弟が経営する「サンワイズ・ターン」という書店で働き始め、人生で初めて芸術というものの素晴らしさに触れます。
父がタイタニック号に乗船し亡くなったことで、遺産を相続、渡欧し、パリやロンドンで芸術家たちと交流を持つことになります。
その頃、パリは世界の芸術の中心地。
今でこそピカソやマティスなど、モダンアートの大家たちの作品はものすごい値段が付きますが、当時は全然安くて、ペギーは少しの元手でたくさんの作品を買い、世界でも有数の現代美術のコレクター、芸術家たちのパトロンとなります。
特にシュルレアリストとの出会いは、ペギーにとって特別なものであったようです。
アンドレ・ブルトンやダリ、マン・レイ、マックス・エルンスト、マルセル・デュシャン...e.t.c.
第二次世界大戦後、多くの芸術家たちがヨーロッパからアメリカへ亡命し、NYへ拠点を移したのも、ペギーの協力があったからこその事だったようです。
その後、NYが芸術の中心地となっていく中で欠かせない存在、「抽象表現主義」を生み出したジャクソン・ポロックを見出し、パトロンとなって彼を育てたのも、ペギー・グッゲンハイムでした。
映画ではペギー・グッゲンハイムの生い立ち、結婚、私生活など、アートに生き、終の住処となるヴェネツィアまでの人生を辿っていきます。
ペギー・グッゲンハイムの蒼々たるアートコレクションとアーティストたちの当時の映像などが存分に味わえ、久しぶりに満足度100%といった内容の作品でした。
この映画の中で、わたくし、知らなかった事実などもあって、興奮しすぎて映画の途中、なんども声を出してしまいそうになるのを押さえながら観ていました。笑
例えば、マックス・エルンストとペギーが結婚していたとか、皆さん知っていました?
あと、ロバート・デ・ニーロの両親が画家で、ペギーの画廊で個展をしていたとか。。
(ネタバレですが、デ・ニーロのインタビューもあり)
いやはや衝動的に観に行った割には、学びも多くて面白い、「当たり」の一作になり、本当に良かったと思います。
さて、本投稿『....〜その時代を語る本たち』とわざわざ題したのですから、この映画にも少しまつわる本をご紹介していこうかと思います。
まずはこちら、「Irving Penn: Photographs a Donation in Memory of Lisa Fonssagrives-Penn」です。
映画の途中、マルセル・デュシャンやマックス・エルンスト、ドロテア・タニングの写真が出て来るのですが、それが最近入荷したばかりのこの写真集に収録されているアーヴィング・ペンのポートレートでした。
めちゃくちゃかっこ良く、店頭でも広げてご覧頂ける様に展示していた写真でした。
マックス・エルンストとドロテア・タニング。↑
アメリカに亡命したシュルレアリストたちをNYで1940年代に撮影したんですね。
やはりアービング・ペンは別格、と思える格好良い写真集です。
その他、ヴォーグのフォトグラファーだったアーヴィング・ペンならではのモード写真や、モロッコなどのボヘミアンたちのポートレートなど、素晴らしい作品の数々を収録。
ホームページにもアップしております。
Irving Penn: Photographs a Donation in Memory of Lisa Fonssagrives-Penn
次にご紹介するのは、「アリス・B・トクラスの自伝 わたしがパリで会った天才たち」。
まさしくパリの英雄時代、中心人物だったガートルード・スタインも映画で触れられていました。
ペギーもやはり、スタインを意識し、どこか憧れていたのでしょう。
そのスタインが共に生活をしていた秘書、アリス・B・トクラスが書いた自伝、というかたちで綴った一冊です。(実際はスタイン著)
こちらは久しぶりの再入荷。
店頭にて販売いたしております。
そして最後、この夏、文庫化されたばかりの原田マハ「暗幕のゲルニカ」。
みなさんもご存知のピカソの代表作「ゲルニカ」にまつわるアート・サスペンス。
1937年のスペイン・ゲルニカの空爆から1945年の終戦までのピカソが生きた時代と、9.11テロが起こった2001年のNYが交差し、物語が進んでいきます。
「ゲルニカ」制作からパリ万博、戦時中の苦難を乗り越え、ニューヨーク近代美術館へと「ゲルニカ」を亡命させていく下りは、この映画でペギーの一大コレクションをヨーロッパからアメリカへ送り出す作業を彷彿とさせます。
また、戦時中ナチスがおこなったモダン・アートへの弾圧「退廃芸術展」もこの作品で触れられています。
まだまだご紹介したい本は沢山あるのですが、今日はこのぐらいで。。
宜しければ、ホームページやSNS(ツイッター・インスタグラム・フェイスブックやってます)に投稿した書籍もご覧頂ければ幸いです。
アート関連、建築書、写真集など、多数お取り扱いいたしております。
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